もくもくファーム(三重)
     
農事組合法人:三重県阿山町   http://www.mokumoku.com/ )
  


「一生懸命つくって、人付き合いを良くして、230人雇用する」


伊賀の里モクモク手づくりファーム

昭和61年に、農業者が集まって職員3人とパート数名でスタートさせたハム工房が、今では従業員約230人(半数パート)という町の主要産業に成長。従業員の半数がお客様と接し、自然、農業手づくりをテーマにしたファクトリーファーム。「おいしさと安心の両立」をコンセプトにした「ものづくり」を原点とした地産地消を目指している。

haの丘の中に手づくりハム工房、地ビール工房、地麦パン工房、パスタ工房、パパビアハウス、窯焼き菓子工房、ファーマーズマーケット、農村料理の店、もくもくの湯、豚のテーマ館、小さなのんびり学習牧場などが点在。年間販売額24億円(平成11


本物をつくって農家の所得を上げるハム工房から出発

 地元JA職員が生産者とともに、品質や販路では他産地に負けない豚づくりを目指し、「松坂豚」「伊賀豚」のブランド化を進め、大手ハムメーカーに原料を販売していた。しかし、手づくりハムへの人気が高まったバブル期に、メーカーがつくる高級品「手づくりハム」に疑問をもち工房を設立した。

 コンセプトは、「自ら加工技術をもつことで所得を上げること」と「安心して食べられる本物の手づくり」である。国と県が3,800万円補助し、生産者、社長理事、工場長などが3,800万円出資して、手づくりハム工房ができた。2001年の国際食肉見本市(ドイツ)では、5つの金賞を受賞している。


マーケティングのコツは、一生懸命つくり人付き合いを良くすること

 初めは、工房をつくったものの全く売れなかった。生産者はつくるのが得意でも宣伝の経験など全然ない農家。それならつくる現場をみてもらおうと「工場見学会」を始めたところ、JA婦人会や生協などへ広がった。消費者はどんどん生の声を寄せてきた。「体験したい」「原料を見たい」「加工の現場を見たい」などなど。こうした中から、手づくりウィンナー教室が生まれ、「安心できるメーカー」と評価されるようになった。

その消費者を組織化して「モクモクネイチャークラブ」をつくり、通販と合わせてファームや体験への意見を集めるようにした。会員数24,000人(全国)会員年間消費額 2.4万円/人(平成12


地域の人が無理なく参加できるしくみ

ファームでは、豚肉の他、販売や加工材料として大量の野菜や米を仕入れているが、ほとんどを地域の農家が提供している。付近の100世帯程の高齢農家は野菜を出荷し、50世帯は米つくりに参加し、ある地区では全戸が地ビール用麦を栽培する。ファームは市場価格より高く買い取り、高齢生産者も参加できるような少量生産を含むしくみが出来ている。

さらに、加工・販売までを農業とみることで、若者が農業で生活できる環境が整えられつつあり、ファームが地域産業の核となって雇用を創り出している。

(参考資料よかネットNo.49