このコーナーでは、いろいろな形の雇用やまちづくりを紹介しています。
過去の記事一覧へ


「仕事も福祉も高齢者の手で」

兵庫県高齢者生活協同組合

http://www.d5.dion.ne.jp/~kourei-h/

 一人で、また夫婦だけの高齢世帯では、蛍光管の取替や庭の草取り、部屋の模様替えなど、生活の中のちょっとしたことに困る場合がある。そんな時、気軽に手伝ってもらえると、とても助かる。通院や買い物だけでなく、お墓参りも引き受けてくれる移送サービス、そんな生活支援があると、自宅で暮らし続けられる人は多い。

 兵庫県高齢者生活協同組合は、高齢者が地域で誇りと尊厳をもって生きることができるようにと、互いの知恵と経験を生かして生活するために、1999年に設立された。会員数約2600人の店舗をもたない福祉生協は、介護を中心とした生活全般の支援サービスを神戸市、伊丹市、宝塚市、尼崎市などで提供している。

仕事も福祉も高齢者の手で

 活動には、「寝たきりにならない」ための福祉サービス、「元気なうちは働こう」の仕事づくり、「独りぼっち高齢者をなくそう」の趣味や特技を生かした仲間づくりの3つの柱があり、組合員の要求を大切にして組合員参加で様々な事業が進められています。

 福祉サービスには、介護保険事業の他に神戸市から委託された2カ所の在宅介護支援センターでの窓口相談の他、安否確認を兼ねた独居高齢者への給食宅配や、公共施設を使った生きがいデイサービスなど、行政との協働事業が中心となっています。組合員が有償で提供するサービスが多いです。

ゴミ出しからお葬式までの助け合い


 「仕事づくり事業」には、住宅リフォームやハウスクリーニング、庭の手入れ、移送サービスの他、葬祭の生前準備などがあります。住宅改築には、福祉・医療・建築の専門家集団と提携して対応し、自治体の改築助成についてのアドバイスもし、ハウスクリーニングでは、介護保険の対象にならないエアコンや換気扇の掃除や大掃除もします。
 様々なサービスを提供しているのが組合員ですが、内容によって、ボランティア、有償ボランティア、専門家として関わっています。例えば、ゴミ出しはボランティアで、庭の除草は有償で、庭木の剪定や改築は専門家が実費でしています。有償にしているのは、頼む側が遠慮せずに頼みやすいのと、元気な高齢者の仕事づくりになるからです。
 最近、組合員の関心が高いのは葬祭の生前準備です。形式化、商業化したお葬式に疑問をもつ高齢者は多く、自分らしいお葬式を望む人にアドバイスして生前予約をし、さらに葬儀も行うサービスで、相談料は回数に関わらず3万円。葬祭アドバイザーが開く研究会には毎回80人近い参加者があるといいます。
 サービスを利用したいときは、県内のケアステーション(8カ所)や本部に相談しますが、生協は、相談に対してでできることは全てするという姿勢で対応しています。

事業を支える仲間づくり

 社会参加や趣味を生かした仲間づくりは、知恵や特技を活かせる生きがいづくりとなっています。劇団やパソコンなど様々な同好会が活動し、教室を開くこともありますが、参加料が必要な場合には、主催者は運営費を公開することになっており、透明性が重視されています。このような運営が、組合員の信頼を得た仲間づくりを確かなものにしているようです。神戸支部は、今後、各区にケアステーションを開き地域に住む高齢者が助け合いながら住み続けられるようにしたいと言っています。



過去の紹介記事
1.もくもくファーム (三重県)